2022年2月4日公開の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、ゴーストバスターズ2の直接の続編として37年後を描いています。
ゴーストバスターズという伝統(?)を復活させるだけでなく、昔のゴーストたちやゴーストバスターズの初代メンバーらを登場させるなど、シリーズの正当な続編であることが感じられる作品です。
音楽にも初代『ゴーストバスターズ』のエルマー・バーンスタインによるクラシックな楽曲の要素がふんだんに盛り込まれていて、懐かしさとワクワクを同時に感じてしまいました!
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』にはレイ・パーカーJr. のあの曲以外にも名曲がたくさん使われていたので、気になる挿入曲とその曲名、使われているシーンをご紹介します。
ゴーストバスターズ/アフターライフの音楽:曲とそのシーンを紹介
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』の音楽を、シーンごとの順に添ってご紹介します。
シャーリー・エリスの “クラッピング・ソング”(邦題:お手々を叩いて)
“The Clapping Song” by Shirley Ellis
この曲は映画の冒頭でカーステレオから流れてきます。ホームレスのスペングラー一家が、祖父の遺産を調べる旅に出るときの曲です。
シャーリー・エリスは1941年生まれ、ニュー・ヨーク ブロンクス育ちの黒人R&B歌手で、ノベルティ・ソング(日本のコミックソング。効果音や早口などを盛込んだ風変わりな曲)のヒットが多いことで知られています。
1954年にマネージャーやプロデューサー、ソングライティングのパートナーとしてリンカーン・チェイスと組むようになり、二人で数々のノベルティ・ソングのヒット曲を生み出しました。
シュレルズの “ベイビー・イッツ・ユー”
“Baby It’s You” by The Shirelles
トレヴァー・スペングラーが、ハンバーガーショップ兼ダイナーの「スピナーズ」でラッキー・ドミンゴ(セレステ・オコナー)を初めて目にしたときに流れる曲です。ローラースケートを履いて食事を出してくれる、というところがいかにもアメリカらしくていいですよね。
“ベイビー・イッツ・ユー”は、マック・デヴィッドとルーサー・ディクソン(名義はバーニー・ウィリアムス)が作詞、バート・バカラックが作曲を手がけた曲です。アメリカの女性R&Bコーラス・グループであるシュレルズのシングル曲で、1961年11月にリリースされました。
1963年にはビートルズによってレコーディングされ、シュレルズのオリジナルとともにシングルチャートにランクインするヒットとなりました。
オーティス・ラッシュの “オール・ユア・ラブ”
“All Your Love” by Otis Rush
「スピナーズ」の外でラッキーを見かけたトレバーはダイナーで働き始めます。そのときラジオから流れるのがこの曲で、2人のコックがラッキーに夢中なトレバーをからかうシーンで流れています。
オーティス・ラッシュは1935年生まれ。アメリカ合衆国フィラデルフィア出身のブルース・ギタリスト&シンガーです。
50年代のシカゴ・ブルースを牽引した一人で、そのサウンドは当時ウェスト・サイド・サウンドと呼ばれていました。”All Your Love”は彼の代表曲の一つ。エリック・クラプトンやエアロスミスもカバーしています。
ファンカデリックの”キャン・ユー・ゲット・トゥ・ザット”
“Can You Get To That” by Funkadelic
トレヴァー、ラッキーとスピナーズの従業員が車でサマーヴィル鉱山の山頂まで走っていくときに流れる曲です。
ファンカデリックはジョージ・クリントンがパーラメントと同時期に結成したファンクバンドで、1960年代末に活躍しました。
“Can You Get To That”は1971年の曲。ファンクがメインのパーラメントとは違い、ジミ・ヘンドリックス調のサイケデリック・ロック的サウンドとファンクの、両方のテイストが感じられます。
バズコックスの “ボアダム”
“Boredom” by Buzzcocks
トレバーがトウモロコシ畑で、昔のゴーストバスターズの車(Ecto-1)を走らせるシーンで流れる曲です。トレバーは猛スピードで車を走らせ、街へと向かいます。
バズコックスは英国出身のパンクロックバンドで、マンチェスターを拠点に活動してきました。セックス・ピストルズに憧れて結成されたバンドということですが、楽曲の疾走感がたまらないですね!
レイ・パーカーJr. の “ゴーストバスターズ”
“Ghostbusters” by Ray Parker Jr.
ゴーストとの最終決戦とエゴンの亡霊との感動的な別れのあと、「ハロルドのために」と画面に表示され、画面はニューヨーク・シティ・ブリッジに切り替わります。ここであの印象的なイントロが聞こえてきて、「ゴーストバスターズ」のロゴが大写しになり映画のクレジットが流れはじめます。
レイ・パーカーJr.はアメリカのR&B、ソウル・ミュージシャン。もともとチャカ・カーン&ルーファスやスティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、テンプテーションズなどのセッションに参加して腕を磨いた実力派でしたが、この曲で大ブレイクしました。
発表当時は、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのヒット曲「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」とこの曲が非常に似ている、とコロンビア・ピクチャーズとパーカーが被告として訴えられる事態に。聴いてみると本当に似ています。
最終的には和解したのですが、事の発端はヒューイ・ルイスにテーマ曲としての提供を断られたコロンビア・ピクチャーズのプロデューサーがパーカーに同じような曲を作らせたことでした。真似をして作らせた曲が大ヒットしたというのも皮肉なものですね。
レイ・パーカーJr. のミュージック・クリップは、初代『ゴーストバスターズ』名場面集+レイのゴーストといった趣があってこちらも面白いのでぜひご覧ください(笑)
マッケナ・グレイスの “ホーンテッド・ハウス”
“Haunted House” by Mckenna Grace
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』で主役のフィービー・スペングラーを演じているマッケナ・グレイスのデビューシングルがこの曲です。エンドクレジットで流れてきます。
パンデミックの間、私生活でつらい出来事があったというマッケナが自ら歌詞を書いた曲。「誰かが人生からいなくなっても、その人の記憶が自分から消えることはない」という内容が意味深ですね。
具体的にどんなエピソードだったのか気になりますが、そこは本人が「別れの曲と捉えることもできますが、友人や家族、終わってしまった関係のことを歌っているのかも」とコメントしています。
実はミュージック・クリップもマッケナ自身が共同監督を務めているとか。天才子役として名を馳せた彼女が、女優としてミュージシャンとして『ゴーストバスターズ/アフターライフ』をきっかけに大きく羽ばたいていくのか、期待を込めて見守りたいと思います。
ゴーストバスターズ/アフターライフの気になる曲まとめ
初代『ゴーストバスターズ』のエルマー・バーンスタインによるクラシックな楽曲以外にも、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』ではオールディーズの名曲など気になる挿入曲がたくさん使われています。
レイ・パーカーJr. のあの曲のエピソードも含め、気になる挿入曲とその曲名、使われているシーンをご紹介しました。音楽を聴きながら、改めて映画の世界に浸りたいですね~