烏に単は似合わない・あせびのその後はサイコパス?八咫烏シリーズネタバレ解説

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安倍智里先生による八咫烏シリーズにどっぷりハマっているわたし。特に気になるキャラの一人があせびです。

シリーズ1作めの『からすひとえは似合わない』はあせびの視点で語られる物語なんですが、長琴なごんを見事に弾きこなす世間知らずの美少女が他の登場人物も読者も欺くとんでもない振る舞いを見せてくれるんです。

しかもシリーズ9作目『追憶の烏』で明らかになったあせびのその後には、八咫烏も私たちも口をあんぐりと開けるしかない衝撃の再登場シーンが…!

今回は八咫烏シリーズのあせびについて、その後も含めてネタバレ解説&考察しますので、未読・未視聴の方はご注意ください。

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八咫烏(やたがらす)シリーズのあせびとは?

八咫烏(やたがらす)シリーズのあせびとはどのようなキャラクターなのでしょうか?

若宮の花嫁候補の一人・東家の二の姫

あせびは若宮(日嗣ひつぎの御子)の花嫁候補の一人として桜花宮おうかぐうに登殿した東家とうけの二の姫です。

東家の別邸からほとんど出たことがない箱入り娘で、世間的な常識もありませんしお妃教育も受けていませんでした。

本来はあせびの腹違いの姉・双葉が登殿する予定でしたが、疱瘡ほうそうにかかり顔にあばたができたことからあせびが代わりに登殿します。

登殿とは、入内(中宮・皇后となる人が正式に内裏だいりに入ること=結婚)の前段階として、宮仕えの形で東家とうけ、南家、西家、北家から花嫁候補の姫君たちが桜花宮に入ること。実質的にはお見合いですね。

日嗣ひつぎの御子は4人の姫宮を訪れて人となりを知りいずれかの姫を妃に選ぶ、というのが一般的な登殿の進み方です。

あせび(馬酔木)の名前の由来が意味深

「あせび」の名は大紫おおむらさき御前おまえ(皇后)が名付けたものですが非常に意味深な名前です。

八咫烏シリーズでは、本当の名前は夫にだけ教えてふだんは仮名で呼び合うものとされていますが、東家の二の姫には仮名がなかったため大紫おおむらさき御前おまえがあせびと名付けました。

あせび(馬酔木)は実在する木で、葉には毒があり馬が食べると神経が麻痺し酔ったような状態になるそうです。

南家の姫・浜木綿はまゆうの解説では『馬程度の下賤の者なら、お前の色気に酔いしれることだろう。せいぜい上手くおやり』と若宮をばかにしているのだと言っていました。

作品の設定として貴族を「宮烏みやがらす」、平民を「山烏やまがらす」、八咫烏の3本目の足を切り落とされ人型をとれない烏を「馬」と呼びます。だから「馬」は人間以下の下賤のものの代名詞なわけです。

それに加えて、あせびの母親・浮雲の影響もありそうです。

母親の浮雲は今上帝の想い人

あせびの母親は若宮の父・今上陛下が若宮の時代に登殿した「浮雲うきぐもで、あせびが幼いとき亡くなっています。

浮雲うきぐも」は長琴なごんという複雑な構造の琴の演奏を得意としており、今上帝のお気に入りでした。

今上帝は毎晩のように彼女のもとに通っていましたが、浮雲に子供ができる前に大紫の御前の部屋に引きずり込まれ子種を搾り取られて子供(長束なつか彦)ができました(笑)

なので今上陛下は仕方なく大紫の御前を正室に迎え入れ、浮雲は東家に帰りました。

その後今上は浮雲のもとにお忍びで通っていましたが、浮雲は楽師と浮気しその男の娘を産みます。いわば「馬」をたぶらかして今上陛下を欺いたということですね。その娘こそあせびです。

ちなみに浮雲の浮気が発覚した理由は、娘の髪の色が楽師と同じ薄茶色で八咫烏としてはかなり珍しい色だったからです。

それにもかかわらず彼女が愛用した長琴に「浮雲」と名付け宝物庫に大切に保管していたわけで、今上帝への浮雲に対する執着ぶりは並々ならぬものがありますね。

あせびが別邸で育ったのは病弱だからではなく、スキャンダルによって生まれた娘なので世間から隔離されていただけでしょう。

あせびは長琴の名手

あせびは母親の浮雲同様長琴の名手で、藤波の宮の手引でこっそり宝物庫に入り見事な長琴を見つけて弾いてしまいます。

その長琴こそ母親が愛用した楽器であり、その音色につられて宝物庫にやってきたのは今上帝(若宮の父)でした。

この出会いがのちに八咫烏シリーズの大きな伏線となります。

大紫おおむらさき御前おまえはあせびの名を与えるとき「東家の栄達を願って」と言いましたが、お前も東家の姫君なのだから浮雲と同じくあせびのように男をたぶらかすのだろう、と皮肉ったのだと思います。

大紫おおむらさき御前おまえは男性から愛されたことがなく、自分の部下の女性が男性と幸せになることを決して許しませんでした。

男好きのする浮雲やその娘のあせびは、自分と正反対のタイプなので大いに目障りだったんじゃないかと思います。

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サイコパス説がある理由

あせびについて検索すると「サイコパス」というサジェストワードが出てくるのでドキッとしますが、もちろん根拠がないことではありません。

サイコパスと言われる人の特徴として、

  • 口達者で外見が魅力的
  • 自己中心的
  • 良心の呵責や罪悪感がない
  • 無神経で共感できない
  • 恋愛や性的関係が奔放

などが挙げられますが、あせびにはこれらすべてが当てはまります

あせびは偶然見かけた若宮を好ましく思い、本気で入内したいと考えて自分のサイコパス的な才能を最大限に発揮。

儚げで優しい外見とおっとりして世間知らずな話しぶりで相手の保護欲をそそり、他人に取り入って自分の目的を達成してしまうんです。

実は姉の双葉が登殿できなかったのは、あせびが東家の下男を呼び出し、自分と逢引きできると思わせた結果姉の双葉が襲われたからでした。

さらに同じ下男を男子禁制の桜花宮に呼び出したときは、下男が誤って真赭ますほすすきの屋敷に侵入する状況を作り、男は斬られて亡くなりました。

下男を引き入れるため若宮の妹・藤波の宮や早桃という女房も利用しますが、結果として藤波が早桃を死なせてしまうことに…。

こうしてちょっとしたわがままを重ねて他人を利用し尽くしたあげく、若宮に向かって堂々と「妻になりとうございます」と言ってのけるふてぶてしさは、すごいの一言です。

私が代わってあげたかった…!と悲劇的な結果を嘆いて涙を流すあせびですが、彼女に関わる人物がことごとく破滅していく中で本人だけが無傷で目的を達成。全く悪びれることがありません。

あせびがまとう桜の精のような美しさが、かえって不気味な演出になっています。個人的にはサイコパスといわれても仕方ないと思います。

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烏に単は似合わないのあせびのその後は?

烏(からす)に単(ひとえ)は似合わないのあせびのその後はどうなったのでしょうか?

あせびは今上陛下(若宮の父)と通じていた

あせびは桜花宮に登殿したとき、今上陛下(若宮の父)と通じていました。誰にも気づかれずに男女の仲になっていたということです。

きっかけになったのは、登殿したばかりのころ、若宮の妹・藤波に連れられ立ち入り禁止の宝物庫に入ったときの出来事です。

そこには長琴(なごん)という大型の琴があり、あせびはその楽器の演奏が得意だったため見事な楽器を見てつい奏でてしまいます。

そこへやってきた美しい男性と言葉を交わし、こっそり宝物庫から出してもらったんですね。その男性こそ今上陛下でした。

今上陛下は長琴を奏でるあせびに浮雲の面影を見たのでしょう。

『烏に単は似合わない』で今上陛下があせびの部屋に入った形跡があったり(帝しか着られない紫の衣をうたたね中のあせびにかけ手紙を置いて立ち去った)、明らかに二人は怪しかったです。

宝物庫の長琴は今上陛下からあせびに与えられましたが、それはあせびの母・浮雲が使ったものでその名も「浮雲」といいました。

自分を裏切った女性の子供に懸想するってどんだけ執着してるのよ~と今上陛下の粘着質にちょっと引いてしまった私です。

若宮の次の金烏の母

八咫烏シリーズの『追憶の鳥』に再登場したあせびは今上陛下の息子を産んでいました。結局その息子が若宮の次の金烏に即位します。

若宮は自分の娘を次の金烏にするつもりでした。しかし女性が金烏になった前例がなく神官たちからの同意が得られず、体制固めもできていない時に若宮は殺されてしまいます。

若宮の次の金烏は長束彦か、若宮の娘かと思われていたところに、実は若宮に弟がいた!ということになったわけです。あせび、やりおる…!

  • 今上陛下は出家していたはず

なので女性と情を交わすなどあってはならないことですが、最高権力者にそんなことは関係なかったですね。

策士として有名な東家の当主は見事にあせびの秘密を守り抜き、若宮によって削がれた四家の力を誇示し主導権を取り戻したのでした。

若宮の花嫁候補として登殿しながらその父親と通じたあせびですが「私はただ、精一杯今上陛下をお慰めしただけ」とケロッとしているあたり、母親の浮雲以上のやり手とみえます。

今後あせびがどう立ち回るのか?まだまだ目が離せません。

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八咫烏シリーズ烏に単は似合わないのあせび・その後とサイコパスかまとめ

八咫烏シリーズのあせびについて、烏に単は似合わないのその後も含めてご紹介しました。

  • あせびは若宮の花嫁候補の一人
  • 東家の二の姫
  • あせび(馬酔木)の名前の由来が意味深
  • サイコパス説は正しい
  • あせびは密かに今上陛下(若宮の父)と通じていた
  • 若宮の次の金烏の母

何を考えているか分からず心底不気味なあせびですが、今後のストーリーにどう絡んでくるのかドキドキします。どうか山内を破滅させないでほしいです…!

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