映画万引き家族への批判は実話が元ネタだから?海外の反応についても

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映画『万引き家族』は、第71回カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞し、日本映画として21年ぶりの快挙を成し遂げました。

しかし第91回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされるなど海外での注目度が高まるにつれて、監督や映画への批判も大きくなったようです。

今回は海外の反応も含め、この映画が批判されたのは、実話をもとにしていることが原因なのか?を考察してみました。

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映画『万引き家族』で是枝監督が受けた批判とは?

映画『万引き家族』で是枝監督が受けた批判とは、どんなものだったのでしょうか。

犯罪を助長する

『万引き家族』は犯罪を助長する映画だ、という批判を受けました。

そもそもタイトルからしてそのものズバリを表現した過激なものです。

内容も、犯罪の共犯者としてつながっている家族が、ある日幼女を誘拐するというストーリー

万引きや死体遺棄などの手口が具体的に映し出されていることもあり

「万引き行為を助長するのではないか」「犯罪を正当化または美化するものではないか」

と感じる人もいたようです。

日本のイメージを下げる・日本が誤解される

『万引き家族』は日本のイメージを下げる、日本が誤解されるという批判もありました。

特に話題になったのがこちらのツイートです↓

現在日本では、無戸籍でも学校に通えるように法律が改正されているそうです。

つまり、例えば民生委員など行政が無戸籍の学齢期の子供の存在を知っていれば、学校に通えないということはないわけですね。

伊藤議員は映画への理解力がないのではという指摘も受けましたが、「観たくもありません」と反論。

堂々と街を歩いている祥太の存在が知られないはずがなく、必ず小学校に通えるはずだ、そういうふうに実際の地域の人々は必死に頑張っている。

だから『万引き家族』が誤解を生む、と言いたいのでしょう

映画がフィクションであって、現実に起きている問題そのものではないことは観る人もわかっていると思います。

それでも映画が創り出す圧倒的なリアリティがあるからこそ、こんなふうに現実の問題として受け止められたのかもしれませんね。

文化庁の助成を受けたのに文部大臣との面会を断ったのはおかしい 

伊藤議員は他にも「文科省から(正しくは文化庁。本人が訂正済み)補助金を受けておきながら、文部科学大臣が祝意を表したいという申し出を断るのはおかしい」という内容の発信を行い、話題になりました。  

確かにお金を出してもらったのなら口も出されて当然で、恩義があるからいい結果が出たら報告するべきだという考え方もあるでしょう。

しかし欧米では、たとえ政府から補助金をもらった作品だとしても堂々と政府を批判する映画を制作することができます。

批判を受けたり、補助金が引き上げられることもありません。

もし「国がお金も口も出す」ことで映画を作ったら、それは政府のプロバガンダ(宣伝)映画になってしまいます。

政府に都合のいい内容の映画しか作れない国になったら困りますよね?

だからお金は出しても口は出さないものなのです。

同じ文脈で考えれば、文化庁の補助金も「金は出すけど口は出さない」ということでいいはず。

つまり、是枝監督のこの姿勢は批判される必要はないと考えることもできますね↓

実は受賞直後からいくつかの団体や自治体から今回の受賞を顕彰したいのだが、という問い合わせを頂きました。有り難いのですが現在まで全てお断りさせて頂いております。
引用元:http://www.kore-eda.com/message/20180607.html

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映画『万引き家族』の元ネタが実話だから批判された?

映画『万引き家族』の元ネタになった実話は、2010年に起きた足立区の年金不正受給事件でした。

映画万引き家族の元ネタの実話は2010年の足立区年金不正受給事件

是枝監督が『万引き家族』を発想するきっかけになったのは、2010年に足立区で発覚した年金不正受給事件です。

事件の内容には、映画の家族の状況と似ている部分があります。

戸籍上111歳だった加藤宗現さんの遺体が発見され、無職で加藤さんの長女の真子(みちこ)容疑者(81)と孫の登貴美容疑者(53)が詐欺容疑で逮捕されました。

逮捕容疑は、教員だった加藤さんの妻が2004年8月に死亡した時、公立学校共済組合に加藤さん名義の書類などを郵送し、組合から遺族共済年金約915万円を騙し取った疑いでした。

加藤さんは1978年11月ごろ「即身成仏する」と言って部屋に籠もり、約10日後に匂いがした(おそらく死亡した)のだとか。

ということは、実に32年もの間、妻と娘と孫の3人が、加藤さんの死を隠していたことになりますね……!

『万引き家族』でも、おばあちゃん・息子と娘・孫という3世代が関わる死体遺棄事件と年金不正受給が描かれているので、共通点がありますね。

当時この事件はかなり話題になったようで、2011年には真子容疑者の死亡が報じられていました。

実話が元ネタだから批判されたわけではない

万引き家族への批判の内容から考えて、実話を元ネタにしたことが批判の理由ではないですね

ただ、映画の内容にあまりにもリアリティがあるために、現実の日本社会に万引き家族のような人々がたくさんいると思われるのが嫌だ、という反応が起きたことは一つの理由だと思います。

カンヌ映画祭でパルムドールを受賞するような作品は、文学に例えれば文芸作品で、ノーベル文学賞とか芥川賞の受賞作みたいなもの。

受賞作でなければ、他の人気作品のように誰もが観る映画ではなかったはずです。

でも、パルムドールを受賞したという話題性に惹かれて、普段は文芸作品を読まないような人がこの映画を見たとすると

「なにこの子供に万引きさせてる映画!」「こういう生活してる人が日本にたくさんいると思われたらヤダ」

などと拒絶反応をおこしてしまうのかも(あくまで個人的見解ですが)。

是枝監督は家族の絆のあり方をより鮮明に描くために、あえて万引きやその他の犯罪行為という危うい絆以外のものを持たない・持てない人々を描いたのだと思うんですが

そのあたりの狙いが理解される以前に、目をそむけたい問題を突然突きつけられたことへの反応が出てしまったのではないでしょうか。

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万引き家族・海外の反応

万引き家族への海外の反応をご紹介します。

カンヌでパルムドール受賞・アカデミー賞外国語賞ノミネート

『万引き家族』はアカデミー賞外国語賞にノミネートされ、カンヌ映画祭では最高賞のパルムドールを受賞しました。

カンヌでの公式上映が終了すると、スタンディングオベーションが9分間も続いたのだそうです。すごいですね!

この映画は「見えない人々(invisible people)」の物語である、と審査員長のケイト・ブランシェットが授賞式でコメントしています。

そして映画のテーマが、映画祭のテーマと呼応していた、とも語ったようですね。

 「インビジブル ピープル」と審査員長のケイト・ブランシェットは授賞式の冒頭で口にした。その存在に光を当てることが今回の映画祭の大きなテーマだった、と。隣に座った通訳を介して日本語に翻訳してもらいながらだったので内容は大まかにしか把握できなかったが、その「invisible」という言葉だけはずっと頭に残った。
引用元:http://www.kore-eda.com/message/20180605.html

ケイト・ブランシェットは受賞について「演技、監督、撮影など全てにおいて素晴らしかった」と公式ディナーで是枝監督に語ったそうです。

特に安藤サクラさんの泣きの演技の素晴らしさについて熱弁を振るっていたとか。

確かに、信代が涙を流すシーンは忘れられないですよね。

オバマ大統領のお気に入りリスト入り

毎年発表されていた、オバマ大統領の毎年のお気に入りリストの中に『万引き家族』が入っていたことも話題になりました。

万引き家族がロッテントマトなど海外で評価が高いのはなぜ?

海外での評価が高いのは、もちろんカンヌでパルムドールを取ったことが影響していると思いますが、観客層の理解力の高さにも助けられているのかなと思います

日本国内でも、たとえば字幕付きでフランス映画のヒューマンドラマを観る人の割合は高くないはずで、観るのは多分インテリ層ですよね。

そういう人は、監督が伝えたいメッセージをきちんと理解しているのかなと思います。

その証拠に、アメリカのロッテントマトという映画批評サイトでは99%の批評家が良い評価をしています。

実は一般の人からは91%の良い評価なのですが、どちらかというと批評家受けしていることや、驚異的な99%という数字が出ていることから、非常に玄人受けする内容なのではないでしょうか。

海外で日本映画の評価をする人は映画が好きだったり、外国の事情に興味がある人たちでしょうから、自然と評価が高くなった面があるかもしれません。

映画万引き家族で是枝監督が受けた批判・実話や海外の反応まとめ

映画『万引き家族』で是枝監督が受けた国内からの批判をまとめました。

元ネタの実話を紐解いてみると、たしかに状況が似ているところはあります。

映画『万引き家族』は、最貧困層の疑似家族の状況を議論が巻き起こるほどのリアルさで描き、家族とは何かを問いかける名作になりました。

アカデミー賞ノミネートやカンヌのパルムドール受賞など海外でも非常に高く評価されています。

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