映画万引き家族・ラストのつぶやきの意味は?亜紀や祥太など登場人物の結末を考察

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映画『万引き家族』のラストでは、一緒に暮らしていた5人がバラバラになってしまいましたね。

祥太がバスの中でつぶやく言葉は何か?亜紀はどこで何をしているのか?

おばあちゃんのつぶやきは何だったのか?りんはラストシーンのあとどうなったのか?

気になったことを調べつつ登場人物それぞれにラストシーンの意味を考察してみました。

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映画万引き家族・ラストシーンのつぶやきの意味を考察

『万引き家族』では、一緒に暮らしていた疑似家族がみんなバラバラになった状態で結末を迎えます。

映画のラストシーンで祥太がつぶやく言葉と、その意味を考察してみました。

万引き家族・祥太の最後のつぶやきは「父ちゃん」

万引き家族で祥太がバスの中で最後につぶやいた言葉は「父ちゃん」でした。

一緒に暮らしていた頃は「父ちゃん」と呼んでほしいと言われても呼ぼうとしなかった祥太ですが、映画のラストで初めてつぶやきます(声は聞こえないけど)

しかしバスに乗っている祥太は、バスを追いかける治を振り返ることはありません。

テストで一番になったり、本で読んだルアーの知識を治に披露したりと、ある意味父親を超える成長を見せていました。

祥太にとって「父ちゃん」である治は過去の人になり、あとは自分の人生を前進するのみ、ってことでしょうね。

祥太はなぜ「父ちゃん」と言ったのか?

祥太がなぜバスの中で「父ちゃん」と言ったか、その理由は治が”父親がどういう存在か教えてくれた人”だからだと思います。

つまり、祥太が知る限り一番父親に近い存在だと治のことを認めたのかな、と思いました。

祥太はパチンコ店の駐車場の車の中から拉致されて、信代や治と暮らしていました。

学校にも行かせてもらえず、治と万引きをする毎日でしたが

ある日万引きでりんをかばうためにわざと捕まったことがきっかけで、施設に引き取られ小学校に通いはじめます。

そんなある日、治の部屋に泊まり、以前のように同じ布団で寝ている時「僕を置いて逃げようとしたの?」と治にたずねます。

祥太がそう聞けたのは、今の祥太が治に見捨てられても生きていける場所にいるからでしょうね。

それに対して治は、自分が逃げようとして捕まったことを認め、「父ちゃんさ、おじさんに戻るわ」と言いました。

”本当の父親ならああいう時お前を置いて逃げないものなんだよ”という意味かなあと思えて

父親になろうとしてなりきれなかった男が、父親を知らない少年へ最後にかけた言葉が一番父親らしかった。そんな感じがして切なかったです。

祥太もそう感じたからこその「父ちゃん」だったのではないでしょうか。

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万引き家族・亜紀やりんなど他の登場人物が迎えた結末とは?

万引き家族の他の登場人物、亜紀やりん、信代などの結末はどうだったのでしょうか?

他にもおばあちゃんが海でつぶやいた言葉気になりました。

万引き家族・亜紀はどこで何をしている?

亜紀がどこで何をしているかは説明がありませんでしたが、落ち着いた上品な服装で現れたところを見ると、自宅に戻っているのかも。

自分を殴ったことがあることや、両親が亜紀の家出を世間的には「オーストラリア留学」にしていたことなどを考えると、亜紀には”そのままの自分でいていいよ”って肯定してもらえる場所がなかったんだと思います。

だから、アルバイトのことも含めて自分の存在をそのまま受け入れてくれる疑似家族がとても居心地よかったんでしょう。

亜紀だけ犯罪に手を染めていなかったのは、彼女の本来の居場所があの家ではなかったからだと思います。

話ができない”4番さん”をぎゅうっと抱きしめる亜紀は、本当は親や妹に抱きしめられたいんでしょうね。

妹の名前を源氏名にしてわざと妹をおとしめているのも、本当は自分が愛されたいからですよね?

亜紀は、事件の余波が収まったころに一人でおばあちゃんの家を訪れます。

縁側から雨戸を開けて、室内を覗き込んでいました。

当然ですがそこにはもう誰もおらず、みんな亜紀から「見えない」場所に行ってしまったことがわかります。

彼女の前にあるのは薄暗い闇。そのせいか、亜紀は4番さんとどこまでも堕ちていくのでは?という感想を見かけます。

彼女の両親が、そのままの亜紀を受け入れようとしなければ、そういう可能性は否定できないですね。

万引き家族・ラストシーンのりんはベランダから飛び降りた?

万引き家族のラストシーンのあと、りんはベランダから飛び降りたのでしょうか?

私には、自分を連れ出してくれる人が現れないかなあと待っている、誰かを見ようとしている姿に見えました。

本当の両親のもとに戻ったりんは、以前のようにベランダに出されて一人で遊んでましたね。

台に乗って伸び上がり、手すりの上からベランダの外を見ようとちょっと身を乗り出しかけたところで突然映画は終わりです。

結末はご想像ください、っていうのやめてほしいなあと思うんですけど、りんの未来は明るくないでしょうね。

戻った場所は社会の死角になっていますから。

カンヌ映画祭の審査委員長を務めたケイト・ブランシェットが、万引き家族を「見えない人々(Invisible People)」の物語だと言ったそうです。

そう考えるとりんは世の中から「見えない」存在に戻ってしまったということですよね。

ベランダの中にいるりんの姿は「見えない」し、家庭内のDVも「見えない」状態です。

彼女が身を乗り出して、飛び降りるなり抜け出すなりして、もう一度外の人に見える存在になるといいなと思います。

以前よりちょっとだけよくなったことは、本当の母親に叩かれそうになったとき、そばに行くのを拒否できるようになったこと。

これは、信代がりんに母性とはどういうものかを教えてあげたから、自分は愛される価値がある人で叩かれなくていいんだって学んだからでしょう。

疑似家族で、社会的に見れば常識も遵法意識も欠けていたけど、愛情は確かに子供達に伝わっていたんですよね。

万引き家族・おばあちゃんが海でつぶやいた言葉は?

おばあちゃんが海でつぶやいた言葉を調べてみると「ありがとうございました」と言っていたそうです。

このセリフは樹木希林さんのアドリブだったとか。

5人が仲良く波打ち際で遊ぶ姿を見ながらお礼の言葉をつぶやくっていうのが何だか泣けますね。

夫は外に女を作って家を出てしまい、本当なら独り暮らしの初枝。

そこに信代や治を住まわせていたのは、やっぱり寂しかったからなんでしょうか。

亜紀が言うように「ほしかったのは、お金だけだったのかな」?と考えると、きっと違うと思います。

自分のお金が頼りにされていることは当然わかっていたでしょうけど、お金を出す代わりに彼女が得ていたものがあったはず。

そうじゃなければ、居候たちへの感謝の言葉なんて出ないですよね。

万引き家族・信代のその後は?

信代のラストシーンも印象的で、面会に来た治と祥太への未練を断ち切るように、一瞬だけニコッと笑って去っていきました。

信代は今回、本当は治が受けるべき死体遺棄罪を自分が被り、懲役刑を受けています。

以前は信代の殺人を治が被って服役したことを考えると、治と信代の関係はこのあとも続いてくのでしょうね

ですが祥太に対しては本当の両親につながる情報を伝え、自分たちから切り離そうとしました。

警察官に「あなたは子どもたちからなんと呼ばれていたんですか?」と聞かれて

「なんだろね……なんだろね」と泣きながら涙をぬぐっていた信代。

自分や治が社会のルール上でうまく生きられない存在であることを改めて自覚して、祥太には自分たちと同じ失敗を繰り返してほしくないと思ったんじゃないかな。

これって母性で、立派な親心ですよね。だからこそ信代の姿が忘れられないのかもしれません。

万引き家族・ラスト近くの治の姿が切ない

万引き家族のラスト近くで、バスを追いかける治の姿が切ないですね。

治は新築のアパートで一人暮らしをしています。

泊まりに来た祥太と釣りをして遊び(万引きした釣り竿?)、カップ麺にコロッケを浸す懐かしのメニューで晩ごはん。

学校のテストで1番になり、ルアーの知識を「本で読んだ」という祥太に「本か」とつぶやく治。

ほんとはここで気づいてるんですよね。自分がもう祥太のためにしてやれることはない、ってことに。

治は面会した信代から「もうわかったでしょ。うちらじゃだめなんだよ、この子には」と言われて信代にすがるような視線を向け

遊びに来た祥太が乗ったバスを走って追いかけますが、追いつくことはできません。

普通の夫婦、普通の父と子という、治には永遠に手が届かない関係を求める治の気持ちを象徴するかのようなシーンでした。

治の姿が哀れではありますが、彼は信代が男性を殺した罪をかぶり、車上荒らしをした車から祥太を誘拐してきたわけで

他人の罪や子供などあらゆるものを盗んできた治が、本当にほしいものは盗んでも手に入れられなかったところが皮肉ですね。

万引き家族・ラストのつぶやきの意味は?登場人物の結末まとめ

万引き家族のラストシーンは、りんがベランダから身を乗り出す途中で突然終わるので、その後が気になってちょっともやもやする感じです。

りんに明るい未来を予想している人が少ないのは、彼女が社会から見えない家庭の中で虐待を受ける生活に戻ってしまったからでしょう。

祥太は施設から学校に通い、テストでいい成績を取るなど新しい人生を歩き始めており、将来に希望が持てそうです。

亜紀はもとの生活に戻ったように見えますが、みんなで過ごした家のことが忘れられない様子。

信代は治の身代わりになって罪を被り服役中。彼女と治の関係は今後も続くのではないでしょうか。

治はずっと変わらないまま、出所する信代を待っている感じがします。

おばあちゃんの初枝は海で「ありがとうございました」とつぶやいていました。

本当は独りで暮らすのが寂しかったのでしょう、家族としてのつながりがない5人がいてくれることへの感謝の気持ちを残して亡くなったのだと思います。

世の中から見捨てられたような疑似家族が、社会から「見える」ようになった途端に家族でいられなくなってしまう物語。

切ないエピソードなのに、なぜかもう一度見たくなる名作です。

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