『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のシャディク・ゼネリは2期に入ってからヴィランとして存在感を増していますね。
ですが彼の一連の行動の真の目的はなにか、要するにどういう世界をつくりたいのかがわかりにくいと思いませんか?
今回の記事ではシャディクのこれまでの行動を振り返って、本当の目的が何か?どんな世界を作ろうとしているのか?を考察してみました。
シャディク・ゼネリの名言名セリフから真の目的を考察
1期アニメでは出番が少なめだったシャディクですが、主要な人物との絡みで印象的なセリフを残しています。
彼の名言・名セリフから実はここを目指してるのか?と目的が読み取れそうなものをピックアップして考察してみました。
変わったよ、君は…残念だ
7話のインキュベーション・パーティーでシャディクがつぶやいたのが「変わったよ、君は…残念だ」というセリフ。スレッタの付き添いとして会場に現れたミオリネへの言葉でした。
シャディクは経営者として経済的な利益を追求し未来を変えていくことに喜びを感じる性質のようです。
二人は以前親たちに内緒で事業コンペに企画案を出したことがあり、企画が通ったことから父親たちにバレて一緒に叱られたという経験をしています。
シャディクはその経験を大切な思い出と考えていて、「俺は君となら、父さん達よりもいい未来を描けると思ってるよ、ミオリネ」とまで言っていました。
その後の彼の行動から考えると、ミオリネを異性のパートナーとしてだけでなく方向性を同じくする経営者としての両面で評価していたことがわかります。
スレッタ・マーキュリー。君からガンダムと花嫁を…奪い取る
シャディクはスレッタを初対面から「水星ちゃん」と呼ぶなど、嫌味のないプレイボーイぶりをいかんなく発揮してスレッタにもガンダムにも近づこうとしていました。
「ガンダムはグループにも俺にも、いずれ必要になる存在だ」と明言し何としても手に入れようと画策します。
シャディクはミオリネが株式会社ガンダムを設立すると決闘委員会に所属する立場を利用して校則を変更し新会社の活動を妨害。
支援という名目で自分の会社にミオリネたちを移籍させ事業もミオリネも手に入れようとします。しかしミオリネがこの提案を拒否し、シャディク隊と地球寮は集団で決闘を行うことになりました。
シャディクはミオリネのためを思って行動してるんですが、なにせ本心を正直に伝えられないものだから裏に何かあるんじゃないかと勘ぐられるところが気の毒でしたよね。
たしかに企業家としての下心ありありだったので仕方ないとはいえ、もっと”ミオリネを助けたい”という本音に正直になろうよーと思ったシーンでした。
お前になら任せられると思ったからだよ
”グエキャン”が話題になっていた8話でグエルに語りかけたセリフ。
グエルの資質を買っていたシャディクは、スレッタが入学する前の学園では適当な理由をつけてグエルとの決闘を避けてきました。
このシーンを見て、シャディクって人を見る目はあるなあと思った視聴者は多いのでは?
本音としてはグエルにベネリットグループ再編の矢面に立ってもらい、自分はその裏でいい感じに活躍しちゃおうという腹積もりだったかもしれませんね。
が、ミオリネに対してだけでなくグエルにもそういう本音を打ち明けないまま、プレイボーイで仕事もサクッとこなしちゃうエリート然とした顔を崩さないから信用されてません。
狭すぎる。視野も、思想も
グエルに声をかけたあと、8話で空を仰いでシャディクが口にしたセリフ。当時はまだ養父サリウスに従順な息子だったので、初めて不穏な空気を感じさせたセリフでした。
ベネリットグループだけでなく宇宙を舞台にして何かやってくれそうだなと予感させましたね。
「施設育ちの僕を引き上げてくれた恩、忘れてはいません」と事あるごとにサリウスに感謝の言葉をかけてきたシャディクですが、他人に本音を見せないため本心からそう言っているのか怪しい印象でした。
結果的にシャディクは目的のためなら養父も裏切ることができる冷酷な人間だということが後に判明します。
ミオリネの隣に立つのは、俺だ!
9話の決闘で勝利を確信し「ミオリネの隣に立つのは、俺だ!」と宣言したとたんにアンテナブレードを撃ち抜かれたシャディク。初めて本音をぶちまけた瞬間に負けるとは…気の毒な男です。
いつもかっこいいシャディクがカッコ悪かった!しかも敗北によってミオリネもガンダム事業も両方失ってしまいました。
シャディクは他人を信用していないから最後の一撃は自分で決めようとするはずとミオリネが読んでいましたが、他人には本心を見せられない悲しい本質が浮き彫りになったシーンでもありました。
しかしこの敗北が転機になって、今度は常に本音で行動しはじめます。温室に入れないシャディクと、温室の中で大きく育った青いトマトを「今さらよ」と切り落とすミオリネの会話が象徴的でした。
「最初から決闘で奪えばよかった」「(会社?) いや、君をだよ」
「『ホルダーになって君を守る』その一言が言えれば、俺も中に入れたのかな?」
機動戦士ガンダム 水星の魔女 9話
大人の失恋シーンでもあり、二人の生きる道が決定的に分かたれたシーンでもありました。
ベネリットグループを解体する
10話で「ベネリットグループを解体する」と宣言して以降は回を追うごとに本音をむき出しにしてヴィランへの道を突き進むシャディク。
彼がとった手段は「テロ」でした。目的はデリング・レンブラン暗殺とガンダムの入手です。
一緒にベネリットグループを解体しようとしていたヴィム・ジェタークまでも裏切って、相変わらず誰も信用しないところがシャディクらしかったですね。
ニカを連絡係として地球のテログループと手を結んでいることが判明したため、実はアーシアンなのでは?という考察も見かけた頃です。
18話と19話でアーシアンとスペーシアンのハーフで戦争シェアリングによって孤児になったという生い立ちが明かされました。
運がよければ生き残れるさ
11話のプラント・クエタ襲撃事件で、ミオリネが現場に行っていると聞いたときのシャディクのセリフでした。
「運がよければ生き残れるさ」ということは、もう俺は守ってやるつもりはないと言っているわけで、グエルが愚直にスレッタを守ろうとするのとは対照的ですね。
ミオリネよりも自分の目的達成を優先するとの宣言なので、ここからはスロットル全開でベネリットグループの破壊に精力を注ぎます。
生き残ったとはいえグエルはテロリストと間違えて父親を殺害してしまいます。これは運がいいと言えるのでしょうか?もとはといえばすべてシャディクのせいですよね。
プラント・クエタ後もガンダム2機とそのパイロット二人をアスティカシア高等専門学園に潜入させるなど暗躍は止まりません。悪党ぶりが板についてきました。
簡単でしたよ、義父(とう)さんを捕らえるのも、警備を装うのも
15話では学園祭のランブルリングでは戦闘機能を制限を取り払ったガンダム2機を暴れさせ、その裏でサリウスを誘拐したシャディク。監禁先でサリウスと話をしている時のセリフです。
しかし誘拐にシャディク隊の女子を使いその様子をエラン・ケレス(強化人士5号)に目撃されるなどどこか脇が甘いですよね。
19話でとうとうグエルにプラントクエタや学園襲撃事件の黒幕だということがバレましたし、養父をグラスレー寮に監禁していることは間違いなさそう。
合わせてニカやノレア、エラン・ケレスをかくまっていることがバレたらどうなるのか…?見ものですね!
戦争シェアリング、俺はね義父さん、これを壊したいんですよ
果たしたいことがあるんです、と15話でとてつもない構想をぶち上げたシャディク。
「宇宙開発事業の莫大な費用を裏で支える戦争シェアリング」
機動戦士ガンダム 水星の魔女 15話
「俺はね義父さん、これを壊したいんですよ」
戦争をシェアリングするという言葉の意味がよくわからなかったので、色々調べつつ考えてみました。
一般的に「シェアリング」とは、一言で言えば資産を共有することです。例えばAirB&Bなら空き部屋を民間の宿泊施設として利用します。水星の魔女の世界でシェアリングされているものといえば
・ガンダムルブリスウル
・ガンダムルブリスソーン
この2機とソフィとノレアですね。彼女たちとガンダムは「フォルドの夜明け」に派遣されただけのいわば使い捨ての駒なわけです。
アーシアンがガンダムの呪いを背負わされたうえ戦争シェアリングの駒として消費されていく状況を変えたいというのがシャディクの考えていることなのかなと思いますね。
恨みで腹は満たせませんよ
15話の「恨みで腹は満たせませんよ」というセリフがアーシアンの心象を代弁している感ありましたね。彼自身がそういう経験をしてきたからこそ出るのでしょう。
ソフィが死に際に語った「お腹いっぱいの食事」ともリンクしてアーシアンの願望が人間として生きるための根本的な欲求に基づいた切実なものなんだと視聴者に感じさせる効果があったと思います。
地球と企業の緊張関係を利用して、抑止力という経済を生み出すんです
15話で出てきた「地球と企業の緊張関係を利用する」ってどゆこと?と思ったんですが、
18話ではグラスレー社の子会社や部下に対して、投げ売りするような値段でいいからとにかく資産を地球の企業に売れと命じていました。
グラスレーの資産が格安で地球企業に譲渡される⇒地球企業が安く資産を手に入れて評価が上がる⇒企業としての力がつく⇒スペーシアン企業と対等に渡り合う
みたいな未来を実現し経済的・軍事的な資産規模を拮抗させることが目的なのか?と思います。
現実の国と国同士の戦争を考えても、核兵器を持つ国同士はお互いへの攻撃を可能な限り回避しますよね。それは自分が核兵器を使ったら同じことをされるとわかっているからですね。
核抑止力のような力関係をスペーシアン企業と地球の間の力関係に応用できないか?ということじゃないでしょうか。
「ガンダムは硬直した軍需産業を盛り返す、ゲームチェンジャーだ」という言葉も以前言っていたことから、地球にガンダムを数多く売りつけたうえでその用途が拡大するような何かを仕掛け、資産価値を高めて規模の拮抗を目指すのかな?とも思います。
力がなければ何も変わらない
16話で「(総裁選の) 機会を逃すつもりはないよ」と名言したとおり、ベネリットグループ総裁を目指すシャディクですが、目的はグループ解体からの再編なのか、解体し徹底的に破壊しつくすのかいまいちわかりません。
ミオリネが御三家の一角であるグエルと組んだことで勝敗の行方がわからなくなってきました。
ミオリネやシャディク以外の候補もいるはずですし、宇宙連合も絡んでこれから事態が大きく動くのでしょう。
総裁選の行方やシャディクがどんなえげつない手段を使ってくるのか見ものですね!
俺はその力を…奪い取る
15話で力づくでも権力を奪いとってみせると宣言したシャディク。
ランブルリングでは学生にも犠牲者を出しましたし、その前のプラント・クエタではグエル父を含むプラントの人々に犠牲が出ています。
権力を掌握するために暴力や犠牲をためらわない姿勢を鮮明に打ち出しているシャディクですが、そのことが首を締める結果になるのでは?と個人的には予想しています。
結末を楽しみにしたいと思います。
グエル、汚したな!ミオリネを
19話でグエルを恨んで放った言葉。グエルとともに地球に交渉に赴いたミオリネですが、プロスペラによって地球を襲撃した犯人にまつり上げられました。
「お前になら任せられる」と思っていたのに…!グエルめー!!!と裏切られた気分になっていたシーンですね。
シャディクはプロスペラにはめられ汚名を背負ったミオリネを救おうとするのでしょうか。
そこに打算的要素がなければ成功するかもしれませんが、シャディクは自分の心に正直に行動することはできない気がします。
個人的な予想
経済的利益の追求、アーシアンの地位向上、ミオリネとの未来など自分が欲しいものを貪欲に求めるシャディクの姿勢はいっそ清々しくて好きなんですけどね。
掴んだ!と思った瞬間にすべてがその手をすり抜けていくことになりはしないかと怖れています。
19話ではガンダムルブリスウル、ガンダムルブリスソーンの派遣元施設が地球のオックスアース社にあり、背後で牛耳っているのはおそらく議会連合であることが判明しました。
議会連合の職員は公務員です。ということは、宇宙の利権構造が制度として固定化され、現在の宇宙全体の正義になっているということでしょう。
その正義は地球を舞台に各企業が作ったモビルスーツを戦わせ続けることによって成り立っています。
つまり合法的にアーシアンの命が戦争の燃料として投下され消費され続けているわけです。これはアーシアンがスペーシアンへの怒りを燃え上がらせるのは必然ですね。
このような戦争シェアリングをなくすことが平和につながる、というのがシャディクの主張です。理想論ではありますが、確かに実現したら平和が訪れることでしょう。
段階としては、アーシアンがスペーシアンに匹敵する資産や武器を保有⇒勢力が拮抗⇒抑止力が働いて戦争そのものが減少⇒アーシアンだけが搾取される構図がなくなる
という世界を夢想しているようですが、企業が利潤を追求し続ければ戦争がなくならず、こんどはスペーシアンにも搾取される階層が生まれるかもしれません。
それに、戦争シェアリングをなくそうとしているシャディクですが、今のところはシェアリングに加担しているともとれるのでそれは矛盾では…?とも思います。
いずれにしても、シャディクには最後に笑っていてほしいと思いつつ最後まで活躍を見守りたいと思います。
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水星の魔女シャディクゼネリの真の目的は?名言名セリフから考察のまとめ
シャディク・ゼネリの名言や名セリフから彼の真の目的を考察してみました。
・変わったよ、君は…残念だ
・スレッタ・マーキュリー。君からガンダムと花嫁を…奪い取る
・お前になら任せられると思ったからだよ
・狭すぎる。視野も、思想も
・ミオリネの隣に立つのは、俺だ!
・ベネリットグループを解体する
・運がよければ生き残れるさ
・簡単でしたよ、義父(とう)さんを捕らえるのも、警備を装うのも
・戦争シェアリング、俺はね義父さん、これを壊したいんですよ
・恨みで腹は満たせませんよ
・地球と企業の緊張関係を利用して、抑止力という経済を生み出すんです
・力がなければ何も変わらない
・俺はその力を…奪い取る
これらの名言・名セリフがシャディクの転機とともに生まれてきました。戦争シェアリングがなくなり地球と宇宙の勢力が拮抗した状況が平和の土台になるのか?
実現した状況を見てみたいものですね。
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