『崖の上のポニョ』の最後で、私が気になったのはリサのこと。
実は死んだんじゃないか?とか、グランマンマーレと何を話してたのか、最後のセリフで何と言ったのか、っていうことでした。
ひまわりの家が水没してたり、リサカーが荒れ果てた状態で放置されていたりなど、リサ死んでてもおかしくないよね?というシーンがあったから気になったんですよ。
調べてみたら、ポニョには死後の世界が描かれているという説が有力だと判明!
じゃあリサは死んで、死後の世界でグランマンマーレと会話してたのか?最後のセリフで何と言ったのか?など考察してみました。
崖の上のポニョ考察・リサは死んだのか死んでないのか?
『崖の上のポニョ』でリサは死んだのか死んでないのか、一度見ただけではどっちなのかよくわかりませんでした。
リサが死んだと言われる理由は
リサが死んだという意見の人は、津波で「ひまわりの家」が水没したときに、リサもおばあちゃんたちも死んでしまったと考えているようです。
普通に考えたら、水の中に沈んだ場所で人間が生きてることってありえませんからね。
なので、リサが死んだと考える人は、津波の前の世界=現世、津波のあとの世界=死後の世界、という捉え方をする人が多いみたいですね。
- リサカーが荒れ果てた状態で放置されている
- 車椅子に座ってて歩けなかったおばあちゃんたちが歩いている
- おばあちゃんたちが「あの世もいいねー」と言っている
- 大津波の被害を受けのに、なぜか街の人が明るい雰囲気で現実離れしている
- ”船の墓場”と呼ばれる場所に船が集合している
- 山の上ホテルという、天国に通じる名前の場所を目指して避難している
- 水の中にデボン紀の生き物がいる(人間がいなくなり海が太古の状態に戻っている)
こういったことを根拠にして、津波のあとは死後の世界だと考えてる、ってことですね。
救助隊がみんなを救助するのも現実のことではなくて、天国に逝かせるお手伝いだと解釈する人もw
うーん、面白い!
リサが死んでないと言われる理由は
リサは死んでないと考える人は、津波で水没した「ひまわりの家」が生と死の間の空間にあると考えているようです。
ポニョが陸を目指したときにクラゲをかぶってきたように、クラゲのドームはポニョたちの魔法の力が働く空間です。
だから水の中なのにリサも普通に呼吸して普通に喋ってましたし、おばあちゃんたちは車椅子なしで歩けるようになってました。
フジモトに案内されて宗介とポニョもそこに入って、やはり陸の上と同じように行動できてましたね。
もしこの空間にいるリサが死んでいたら、生きている宗介とグランマンマーレと3人で会話するなんてできないと思うんですよ。
もしできたとしても、”宗介とポニョに試練を受けさせる”という未来に影響を及ぼす決定をしたり、それを見守ることはできないんじゃないでしょうか。
死んでるなら時間が止まってるはずで、自分が死んだあとの世界の変化にこんなに関わることはできないんじゃないかと思います。
おばあちゃんたちが歩けるようになってたのは、海の中にポニョが解放した魔法の水の力が溶け込んでいて、
人間が生まれる前の太古の海の強い生命力を持ってるからじゃないかな~と個人的には思いました。
結論:リサは生死の境目にいたがこの世に戻ってきた
私が出した結論は、リサは生死の境目にいたがこの世に戻ってきた、というものです。
『崖の上のポニョ』をざっくりまとめると、宗介に助けられて一目ぼれしたポニョが、魔法の力を使って女の子の姿になり、好きな男の子に会いにくる話です。
会いに来るときに、貯められていた魔法の力を一気に解放したんですよね。
それで世界にほころびができて月が落ち、その重力の影響も受けて海は大荒れ津波発生というとんでもないことになります。
グランマンマーレとフジモトは、娘の不始末の後片付けと、娘の意志と相手の男(宗介)の意志の確認のためにひまわりの家にやってきます。
そこで宗介の親を死なせてしまう、っていう状況にはならないんじゃないかと思うんですよね。
普通の親なら土下座して「うちの娘が大変なご迷惑をおかけしました。宗介さんとご両親、街の皆様に心よりお詫び申し上げます」ってなとこですよ。
なのでグランマンマーレは、自分の娘が水没させた相手の親とその職場にいた人たちを(水の中だけど)安全に保護しておいたし、街の人達にもとりあえず犠牲が出ないようにしたわけですね。
リサが色々不思議なことが起きてても全く動じてないのは、そういう「道理」を解っているからじゃないでしょうか。
宗介も自分も、「道理」に外れたことはしていない、何が起きても怖れることはない、って思ってるんだと思います。
だから「不思議なことが起きてるけど大丈夫、後でちゃんとわかるから」って言えるし、グランマンマーレとも対等に話ができるし、おばあちゃんたちには「宗介を応援してあげてください」と言えるんですよね。
グランマンマーレが「世界のほころびは修復されました」と言ってるのは、「娘の不始末は彼女が惚れた人間の男のためにしたことなので、人間にかけた迷惑の尻拭いはさせていただきました」ってことでしょう。
つまり、津波で受けた被害はなかったことになり、誰も死なないし、街は津波前の状態に戻るわけです。
そう考えると、リサは死んでいない、きっと生きていると思います。
映画の最後に映った家の様子が、最初の頃見たとき以前と変わらない様子だったじゃないですか。
宗介の父耕一は船乗りで留守がちですから、もしリサが亡くなっていれば、家はあっという間に荒れ放題になるでしょう。
しかし家の様子は変わっていなかったので、リサが生きているんだな~と私は解釈しました。
リサとグランマンマーレとの会話の内容は?
リサはグランマンマーレと何を話したのか?はすごく気になりますよね。
岡田斗司夫さんの『崖の上のポニョ』解説では取引をしたことになっている
普通に考えると、グランマンマーレとリサは、
グランマンマーレとしてはポニョの望みをかなえてやりたい⇒ほうほう
宗介の意志を確かめたい、そのためには3つの質問をする必要がある⇒いいよ
ってなことを話しているように思えますけどね。
普通の想像とは全く違っていて面白いのが、岡田斗司夫さんの『崖の上のポニョ』解説。
その中では、グランマンマーレとリサとの間で、夫の耕一をめぐる取引が行われたんじゃないかと言ってるんです。
グランマンマーレ
「あなたの夫耕一は無事返してあげます。だから娘が宗介くんと一生一緒に暮らせるようにしてくれないかしら」
リサ
「耕一を無事返してくれるならいいわよ。宗介もポニョのこと好きみたいだし」
岡田斗司夫説でなぜこういう想像になるかというと、リサは
- 子供たちの晩ごはんより耕一が大事
- 自分をお母さんと呼ばせず「リサ」と呼ばせている
という部分で、「母親」というより「女」であることを強調されているキャラだから、というのです。
まあ確かにそういう解釈も成り立つし面白いんですが、私は子どもの映画にそういう生々しい部分が入ってると思いたくないですね(笑)
でも、これだけ解釈の余地を残したまま作品を成立させ、大ヒットさせてるってことが宮崎駿監督のすごいところかもしれないです。
ご興味ある方は岡田斗司夫さん動画の切り抜きをご覧ください↓
不自然なほどに『女』を前面に出す宗介の母『崖の上のポニョ』リサの闇【岡田斗司夫切り抜き】
リサさんも辛いわよねの意味は?
もう一つ気になったのはおばあちゃんたちのセリフ、「リサさんも辛いわよね」の意味です。
生きていたはずの宗介をあの世に連れてこられてしまうなんて気の毒に、辛いわよねーという意味だったのかなと思ったんですよ、最初は。
おばあちゃんたちは、車椅子なしで歩けるようになったため、もう三途の川を渡ってしまった気分になって、「あの世もいいわねー」なんてはしゃいでいました。
そこにフジモトの案内で宗介とポニョが現れたので、宗介もポニョも死んじゃうんだと思って、リサさん気の毒になあ~っていう意味だと思ったんです。
でも、あとから、この状況で5歳の息子に頼らなくてはいけない、何かやってもらわないといけないことが辛いわよねという意味もあったのかもと思うようになりました。
リサのほかに宗介もグランマンマーレと話をしているわけですから、彼の身に何か起きることは明らかです。
宗介にこれ以上何が起きるんだろう?って興味をそそられている表現にも思えますよね。
これはどっちなのか、両方なのか、自分の結論は出ていません。
リサの最後のセリフは「あなたもね!グランマンマーレ!」
リサの最後のセリフは、「あなたもね!グランマンマーレ!」でした。
なんというか、ママ友に気軽に「またねー!」って言ってる感じがするところがリサらしいですよね(笑)
同じ母親同士、頑張りましょうって言ってるようで面白かったw
宗介がポニョを一生愛し続けると約束したわけですから、人間同士なら結納が終わって親戚になった親がお互いに挨拶してるようなものですよね~
リサはそういう対等な感覚で呼びかけてる気がします。
グランマンマーレって大きいしピカピカして威圧的だし、普通なら圧倒されてしまいそうですが、全く気にせずいつもどおり接することができるリサや宗介はすごいなって思って観てました。
リサは死んだ・死んでない?辛いよねや最後のセリフ考察まとめ
『崖の上のポニョ』のリサは、一時生死の境にいましたが死んでない、無事生き残ったと思います。
ポニョが引き起こした津波の被害は、娘が宗介と一緒にいられることになったおかげで、グランマンマーレたちが元通りにしてくれました。
おばあちゃんたちから見れば、5歳の子どもに人生を決める決断を迫ることは母親のリサにとって辛いことに見えたかもしれません。
ですが宗介は純粋な子どもなのであっさりと決めてしまいましたし、リサは宗介の今の決断を尊重しているのか何もいいませんでしたね。
リサに辛そうな様子は全くなかったので、今後は大変かもしれないけど今はハッピーエンドなんでしょう。
「あなたもね!グランマンマーレ!」という最後のセリフには、自分の息子だけでなく海に生きる人たちの意志を尊重し対等に接するリサの姿勢が表れていると感じます。
わたしはこういうリサの姿勢がけっこう好きです。
色々書いてきたらもう一度最後のシーンが観たくなっちゃいました(笑)何度でも繰り返し味わえるのが『崖の上のポニョ』の良さなんでしょうね~