『銀河英雄伝説』は田中芳樹著の小説を原作とするアニメ・漫画作品で、原作小説にもアニメ作品にも熱狂的なファンがいることで知られています。
これまでに2回アニメ化され、それぞれ同時期にコミカライズも行われているため漫画には道原かつみ版と藤崎竜版の2種類があります。
銀英伝の漫画について検索すると「ひどい」との検索ワードが出てくるんですが、これは一体どういうことなのでしょうか?
銀英伝の漫画には何かひどいところがあるのか?そして2つのコミカライズは打ち切りや完結で連載を終了しているのか?について詳しく調べてみました。
銀河英雄伝説の漫画は本当にひどい?
銀河英雄伝説の漫画は本当にひどいのでしょうか?
結論からいうと、ファンの好みにより評価が分かれている状態です。逆に言えば、どちらも決定版と呼べるコミカライズではないともいえますね。
ひどいと言われるのはどういった部分なのか詳しく調べてみました。
道原かつみ版がひどいところ・評価が高いところは?
道原かつみ版は、『銀河英雄伝説』の初めてのコミカライズ作品です。どこがひどいと言われているのか詳しく見てみましょう。
低評価なところ:未完のまま連載終了&重要シーンの省略とルビンスキーの女性化
批判的な意見として、原作小説5巻の途中までの内容で連載が終了(完結)してしまっていることが挙げられます。
刊行ペースも非常に遅く、最終的には年に1冊程度になり新刊が出る頃には前の内容を忘れてしまうほどだったようですね。
また、重要シーンの省略も多く『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像』でユリアンの初陣や要塞対要塞が激突するシーンなどをカットしたことが後の展開に影響すると批判を受けたようです。
フェザーンのフィクサー的存在のアドリアン・ルビンスキーを「ルビンスカヤ」という女性にしたことも不評でした(ルビンスカヤはスキンヘッドの黒人女性キャラになりました)。
ただしこれらは原作者と相談のうえで行った改変です。個人的にはルビンスキーを女性にすることで何を狙ったのか、完結まで読んで見届けたかったですね。
高評価なところ:美麗な絵&セリフやストーリーが原作に近い
道原版を好意的に評価する人がよく挙げるのは美麗なタッチの絵の美しさと政治劇の描写の丁寧さです。
セリフやストーリーがほぼ原作どおりであることも高評価につながっています。
銀英伝は登場人物が多く政治的な駆け引きが続きます。会話の中でそういった部分が解説されるので道原版は原作に沿った筋の理解はしやすいですね。
デザイン的にも帝国軍将校たちの制服姿は華やかで美しいですし、自由惑星同盟側も適度にユルく愛嬌ある雰囲気でファンに愛されていました。
藤崎竜版がひどいところ・評価が高いところは?
バビルさんに戴いている『銀河英雄伝説』も27巻。帝王と魔術師のイゼルローン回廊での激突。動きも音も色もないコミックで、この大会戦をいかに描写するのか。作画する藤崎竜の腕の見せ所ではある。大ゴマ小ゴマ、幾何学グラフ、特別大図解、そこへキャラの点描で命を吹き込む。さすがの手練である。
— 辻 真先 (@mtsujiji) August 23, 2023
藤崎版のコミカライズの特徴は、ジャンプ系列雑誌らしい少年漫画風のアレンジです。
高評価・低評価もそこがポイントになっていると思います。
低評価なところ:ギャグ風味が強くキャラのリアクションが大きめ
特に少年時代のラインハルトやキルヒアイスに関してですが、ギャグ風味が強くリアクション大きめなことがキャラクターのイメージにそぐわないとの批判があります。
また、少年漫画らしさを出すためかもしれませんがセリフの内容がかなり改変され、名言・名セリフをそのまま味わうことができません。
必然的にヤンが語る戦略論の面白さやヤンのすごさが伝わってこないという批判もありますね。
高評価なところ:若い読者が読みやすくなる工夫&かっこよくわかりやすい戦闘シーン
ストーリーも原作とは順番が異なり、ラインハルトの一代記として読めるよう彼の少年時代から時系列順にエピソードが描かれていきます。
原作通りだと初登場のラインハルトが艦隊を率いて叛乱軍の鎮圧に向かうんですが、少年時代から描くことで年齢が低めの読者が作品に入りやすいよう工夫されているんでしょう。
私が特に驚いたのは艦隊戦の描写です。旧アニメのメカデザインを全面的に踏襲しているため、よくここまで戦艦書きましたねと感心するほどあの戦艦たちが細密に描写されています。
作戦の解説もわかりやすく読みやすいです。艦隊戦など戦闘シーン重視の方は道原版よりこちらが断然おすすめです。
銀英伝の漫画は打ち切りになって完結した?
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— 銀河英雄伝説DieNeueThese (@gineidenanime) December 12, 2023
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銀英伝の漫画は打ち切りになって完結したのでしょうか?
道原かつみ版は完結(打ち切りではない)
道原かつみ版の漫画は原作小説の5巻途中までの内容で連載を終了しました。
終了した理由は、道原先生から申し出があったからなのだそうです。打ち切り(連載誌からの要請で連載をやめること)ではありませんでした。
今回の「卒業」は、道原さんからお申し出があったことなので、私どもとしましては、今まで本当にありがとうございました。としか言えません。
道原かつみさんのコミック版『銀河英雄伝説』が、ひとまず終了となります!
ただ、私個人としては、このさき単発で何かを描いて頂ける希望も捨ててはおりません。その際はどうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 安達裕章 | 2015年10月 9日 15時04分
↑こちらの安達裕章さんという方は、有限会社らいとすたっふ/田中芳樹事務所の代表を務めている方です。
有限会社らいとすたっふは田中芳樹先生のほか、横山信義先生、天野頌子先生、ひかわ玲子先生など作家のマネジメントを行う会社です。
なので安達さんの説明はオフィシャル情報と考えて間違いありません。
巻数:3シリーズ合計16冊で完結済み
道原版の漫画は3つのシリーズで合計16冊あります。
さまざまな出版社やシリーズで形を変えて刊行されていますが、手に入りやすい代表的なラインナップはこちらです。
『銀河英雄伝説』全11巻(完結)Chara COMICS
宇宙をこの手に入れる──少年の日の誓いを果たすため数々の戦場において、武勲と栄誉を積み重ねてゆく銀河帝国の若き天才、ラインハルト・フォン・ローエングラム。意にそわない軍籍に身をおき、退役を望みながらも、自由惑星同盟の知将と名をはせる、ヤン・ウェンリー。ふたつの運命の交錯が、銀河に大きな変革をもたらす…
まんが王国 銀河英雄伝説(1)
最後の11巻の内容は、ちょうどキルヒアイスに関する決定的な事件が起こるところまでです。
ヴェスターラントでの虐殺を黙認したラインハルトをとがめるキルヒアイス。強い絆で結ばれたふたりの間にいつしか隙間風が。そして貴族連合との闘いは最後の決戦を迎える。ハイネセンでは敗北を悟った救国軍事会議議長グリーンヒル大将の死でクーデターは終結した。地球教信徒に匿われていた国家元首ヨブ・トリューニヒトが政治に復帰するが…
まんが王国 銀河英雄伝説(11)
大まかにいって原作2巻まで、旧アニメの26話・ノイエ銀英伝の24話までに相当する内容になります。
『銀河英雄伝説外伝 黄金の翼』全1巻 Chara COMICS
帝国暦五世紀末。ラインハルトはキルヒアイスとの友情を育んでいた。姉アンネローゼをルドルフ皇帝の側室として奪われたラインハルトは、心中深く帝位簒奪の野望を抱く。幼年学校を卒業したふたりは銀河帝国イゼルローン要塞へ赴任する。一方、自由惑星同盟は最重要軍事拠点のイゼルローン要塞を攻略すべく第五次遠征隊を派遣した。作戦を立案したのは、知略に富む若きヤン・ウェンリー少佐だった…銀河英雄伝説前史。
まんが王国 「銀河英雄伝説外伝 黄金の翼」
こちらは原作小説『黄金の翼』のコミカライズになります。
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像』全4巻 リュウコミックス
亡き友キルヒアイスとの誓いを果たすため、再び戦うことを決意した帝国宰相ラインハルト。フェザーン自治領では亡命した貴族連合の生き残りを糾合して、銀河帝国の幼帝を拉致する計画が進行していた。だがその裏にはラインハルトへの密告を含む二重の企みが秘められていた…
まんが王国 「銀河英雄伝説 英雄たちの肖像」(1)
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像』はリップシュタット戦役後からスタート。
4巻の内容はヤンがイゼルローンを放棄するところですね。
同盟が勝利する唯一の方法とは――!? ラインハルト率いる帝国軍は、フェザーンを占領し、ついに同盟領への侵攻を開始する。圧倒的な戦力の前に、なすすべもない同盟軍――。その危機を救うべく、ヤンはイゼルローン要塞を放棄し、首都ハイネセンへと向かうが…!? 大人気スペースロマン、第4弾!
まんが王国 「銀河英雄伝説 英雄たちの肖像」(4)
バーミリオン星域会戦の前までで完結していますので、原作小説5巻の途中まで、旧アニメの49話か50話あたり、ノイエ銀英伝の5期で2024年に放送される部分に相当します。
藤崎竜版はウルトラジャンプで連載中
藤崎竜先生の『銀河英雄伝説』はヤングジャンプで連載が開始されました。
連載当時の順位は4位ということで、打ち切り対象のまんがではなかったはずです。
しかし連載は途中からウルトラジャンプに移籍します。
これは、当時藤崎先生に目をかけていたヤングジャンプの編集長がウルトラジャンプに移籍したからではないか?と言われています。いわゆる「引き抜き」ですね。
藤崎竜さんの「銀河英雄伝説」がウルトラジャンプに移籍します! https://t.co/vYFGF2Xcky
— 安達裕章 (@adachi_hiro) January 22, 2020
そして現在も連載は続いています。
2023年12月18日現在の最新話は266話「ユリアン・ミンツ 魔術師 還らず(3)」。
ヤンのファンとしては一番読みたくないけど読まずにいられないエピソードですね(T_T)
巻数:最新28巻(2023年12月19日発売・連載中)
遠く、遠く、遥かなる未来――“常勝の天才”と“不敗の魔術師”と称される二人の英雄、ラインハルト・フォン・ミューゼルとヤン・ウェンリーがこの世に生を受ける。時代の波濤に煌めく二つの灯火が銀河を翔け、人類の命運を動かす――。悠久の戦乱に終止符を打つべく現れた、二つの巨星の運命を描くSF英雄譚!!
Amebaマンガ 銀河英雄伝説1
最新刊は28巻で、1年に3~4冊ペースで刊行されています。最近の発売日は次のとおりです。
- 27巻:2023年8月23日発売
- 28巻:2023年12月19日発売
- 29巻:2024年3月頃発売(予想)
- 30巻:2024年7月頃発売(予想)
最新28巻の内容はこちら。
圧倒的な戦力差の中で始まった回廊の戦い。しかしその差をものともせず、巧みな戦術で帝国軍を追い詰めるヤン陣営は、遂にラインハルト本陣へ迫る!! そこへ割って入った帝国軍ミッターマイヤー元帥だがヤン分艦隊に撃破され、戦死の報が届く……!? 倒れゆく味方将兵を目の当たりにしたラインハルトは友キルヒアイスを幻視するように……。激戦続く回廊の戦いの行く末は!?
Amebaマンガ 銀河英雄伝説28
ラインハルトに肉薄するヤン艦隊は作品全体を通してみても、艦隊戦の最大の見せ場の一つです。
藤崎版があるからこそ漫画で読めるわけで、これは本当にありがたい!と思います。
5期アニメの予習にちょうどいいので、たくさんの人に読んでもらってもっともっとファンが増えることを願っています。
まんが王国なら『銀河英雄伝説』を10~50%割引で安く読める!
実は『銀河英雄伝説』の漫画を最新刊をのぞいて10~50%割引で読む方法があります!
まんが王国の1日2回引ける割引クーポン「おみふり」なら、19巻までを10~50%割引で読めてしまうんです(最終巻は除きます)。
クーポンのもらい方や他のサイトの価格をチェックしてから、という方はこちらの記事をどうぞ↓
まとめ
銀河英雄伝説の漫画は本当にひどいのか?ひどいとしたらどうしてそう言われているのか?
そして道原かつみ版・藤崎竜版の2つのコミカライズはそれぞれ打ち切りや完結済みで連載を終了したのか?についてご紹介しました。
- 道原かつみ版の低評価ポイント:未完のまま連載終了&重要シーンの省略とルビンスキーの女性化
- 道原かつみ版の高評価ポイント:美麗な絵&セリフやストーリーが原作に近い
- 藤崎竜版の低評価ポイント:ギャグ風味が強くキャラのリアクションが大きめ
- 藤崎竜版の高評価ポイント:若い読者が読みやすくなる工夫&かっこいい戦闘シーン
銀英伝の漫画は打ち切りになって完結したのでしょうか?
- 道原かつみ版は完結(打ち切りではない)
- 藤崎竜版はウルトラジャンプで連載中
道原かつみ先生が銀河英雄伝説のコミカライズを連載されていた頃は、小説のコミカライズがほとんどおこなわれていない時代でした。
原作小説で10巻もある作品を漫画で読める時代になって本当に幸せだなと思います。
原作小説はもちろん面白いんですが、時代の気分を色濃く反映する漫画で読むというのもまた面白いですね。
藤崎先生の連載が完結までちゃんと描ききってくれることを祈ります!