米澤穂信の小市民シリーズの順番と小説のネタバレあらすじを解説

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米澤穂信先生の「小市民シリーズ」がアニメ化されることになりましたね!

以前アニメ化された『氷菓』がお好みだった方なら間違いなく楽しめる作品だと思います。

今回は、第一作目の『春期限定いちごタルト事件』から最新作『冬季限定ボンボンショコラ事件』までの6冊について、読むべき順番とネタバレあらすじをご紹介します。

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米澤穂信の小市民シリーズを読む順番は?

米澤穂信の小市民シリーズを読むなら、おすすめの順番は2つあります。

どちらの順番で読んでも作品の面白さや読後感は変わりませんが、よかったら参考にしてください。

完結の6巻まで刊行順に読むのがおすすめ

まずは刊行順に読むのがおすすめです。内容は6巻までで完結していますので、続きが読みたい!とモヤモヤすることもありません。もう一周したくなるかもしれませんが(笑)

巻数タイトル発行日
1春期限定いちごタルト事件2004年12月24日
2夏期限定トロピカルパフェ事件2006年4月14日
3秋期限定栗きんとん事件〈上〉2009年2月27日
4秋期限定栗きんとん事件〈下〉2009年3月13日
5巴里マカロンの謎 2020年1月30日
6冬期限定ボンボンショコラ事件2024年4月26日

発行日を見るとわかりますが、実は4巻の『秋期限定栗きんとん事件〈下〉』から5巻の『巴里パリマカロンの謎』までの間が11年もあいているんですよね。

巴里マカロンの謎には4つの短編が収録されているんですが、2016年~2018年にかけて毎年12月に発表された3つの短編に描き下ろしの1編を加えたものになっています。

秋期限定栗きんとん事件の小山内さんがなかなかにダークで怖いので、巴里マカロンの謎の短編集は口直しのソフトでライトなスイーツといった印象ですね。

実は第1巻の発行から完結までに20年もかかっている長寿シリーズで、個人的には米澤穂信先生の語り口が次第に特になめらかさと濃厚さを増しているように感じますw

時系列順なら1→5→2→3→4→6の順番

小市民シリーズを時系列順に作品を並べると、こちらの順番になります。

巻数タイトル作品中の時期
1春期限定いちごタルト事件高校1年の春
5巴里マカロンの謎高校1年の秋から冬
2夏期限定トロピカルパフェ事件高校2年の夏
3秋期限定栗きんとん事件〈上〉高校2年の秋から高校3年の春
4秋期限定栗きんとん事件〈下〉高校3年の春から冬
6冬期限定ボンボンショコラ事件高校3年の冬

5巻の巴里パリマカロンの謎の事件は、時期的には春季限定いちごタルト事件と夏期限定トロピカルパフェ事件の間に起きたものです。

短編集ではあるものの、全体が同じ時系列上で語られており、すべて1年生の間に起きた事件について書かれています。

この順番で読むと、2巻以降の小山内さんの闇が加速度的に濃くなっていくのがよくわかります。

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原作小説ネタバレあらすじ

『小市民シリーズ』について、原作小説のネタバレあらすじをまとめてみました^^

未読の方はご注意ください。

春期限定いちごタルト事件

小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。きょうも2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか? コメディ・タッチのライトなミステリ。

〈小市民〉シリーズ (1) 春期限定いちごタルト事件

『氷菓』とは違うテイストながら、高校生の男女が学校の内外で起きる日常の謎を解くスタイルの作品です。

謎があると解かずにはいられない小鳩こばとくん(男)と、自分に不利益をもたらした相手には徹底的に復讐したい小山内おさないさん(女)が主人公として活躍します。

小鳩くんを連れていき、<アリス>の春季限定いちごタルトを2つゲットしたスイーツ大好き小山内さん。

コンビニに寄って牛乳を買う間に自転車が盗まれ、カゴの中のいちごタルトを食べそこねてしまうんです。

この恨みは大きかった!最終的に小鳩くん小山内さんが犯人を追い詰めた手段が、警察ではなくある店に通報するだけなんだけど犯人にとっては致命的で驚きました。

それに犯人を追い詰めていくのが小山内さんで、小鳩くんがそれを追いかけるという展開は予想外でしたね。

最終的には自転車泥棒の高校生が公文書偽造に手を染める事件に行き着き、全く関係ないと思われた小さな出来事が伏線として見事に回収されていく爽快感があります。

お互いの存在を利用しつつ「小市民」として目立たない生活を送ることを目標にしているものの、表面を取り繕うだけで本性は隠せない二人(笑)そこがおもしろいです。

二人が互恵関係を結んだのは中学時代で、当時の小鳩さん小山内さんが致命的な失敗を犯したことはわかるんですが、詳しい内容は明かされないまま読了となります。

気になる~!と思って読み進めると、その謎が解かれるのは6巻でした。

夏期限定トロピカルパフェ事件

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。さかしらに探偵役を務めるなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を! 恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある小鳩君と小佐内さんは、今日も二人で清く慎ましい小市民を目指す。そんな彼らの、この夏の運命を左右するのは〈小佐内スイーツセレクション・夏〉――? 大好評『春期限定いちごタルト事件』に続く待望のシリーズ第2弾、いよいよ登場!

〈小市民〉シリーズ (2) 夏期限定トロピカルパフェ事件

夏期限定トロピカルパフェ事件は、読了後に小山内さんの深い闇を感じる長編です(あくまで個人的な感想ですが)。

小山内さんお手製のスイーツマップ、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉のお店を制覇するため、はた目にはデートとしか思えないスイーツ店めぐりをハイペースでこなす二人。

ある時小山内さんの家で待ち合わせをしますが、外出中だという小山内さんを待つため家に招き入れられた小鳩くんの眼の前で、小山内さんを誘拐したという電話がかかってきます!

小山内さんの自宅には警察官がかけつけて対応。小鳩くんは健吾(小学校が一緒だった友人)とともに小山内さんのメールから居場所を特定して…?というお話です。

小鳩くんはスイーツセレクションのお店巡りの時点で「小山内さんが何かたくらんでいる」と感づいていましたが、小山内さんの暴走ぶりは小鳩くんや読者の上をいっていました。

誘拐事件の主犯は無事捕まるのですが、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉第一位の夏期限定トロピカルパフェを食べながら小鳩くんが謎解きを披露して、黒幕の存在が明らかになります。

残念ながらパフェの食べっぷりも謎解きも小山内さんに勝てなかった小鳩くん。

互恵関係の解消を小山内さんに切り出され、冷静なふりをしていいよと応じます。おい、そこ!まちがってるよ~って言ってあげたいけど…

結果として小鳩くんと小山内さんが互恵関係を解消することになります。

秋期限定栗きんとん事件〈上〉

あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。――それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい……シリーズ第3弾。

〈小市民〉シリーズ (3) 秋期限定栗きんとん事件 上

小鳩くんと小山内さんがすれ違っても目も合わせないシーンから始まります。いきなり辛いです。

小山内さんが新聞部で放火事件のコラムを書く瓜野くんを励まし、コラムに書かれた放火事件の謎に小鳩くんが関わって…と知らず知らず同じ事件に近づいていく二人。

もしかしたら小山内さんが放火事件の犯人なのか?と思うところで上巻が終了し、すぐに下巻を手に取らずにはいられませんw

秋期限定栗きんとん事件では二人が互恵関係を解消しており、それぞれ別の人と付き合います。小山内さんは新聞部の瓜野くん、小鳩くんは仲丸さんが相手です。

小山内さんが瓜野くんに尽くすようでもあり、小悪魔的に振り回す雰囲気でもあるため「これはあとで瓜野くんがかわいそうになるのか…?」と悲劇的な結末を予想する人がいそう(私のことです)。

逆に小鳩くんは小市民的幸せを能天気に楽しむように見えるんですが、ところどころでつい本性がでてしまい、小鳩くんを理解できない仲丸さんとの間に明らかなすれ違いが生まれます。

残念ながら上巻に栗きんとんは登場せずに終わります。

秋期限定栗きんとん事件〈下〉

ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど……ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ?

〈小市民〉シリーズ (3) 秋期限定栗きんとん事件 下

前巻から続く放火事件の謎について、小鳩くん小山内さんは無事犯人にたどりつき責任を取らせることに成功します。

小鳩くんと仲丸さんの関係は、小鳩くんが「最低だった」と一方的にフラれる展開で終了。

瓜野くんは小山内さんの復讐のターゲットとして見事なスケープゴートとなります。

ちなみにタイトルになっている栗きんとんがなかなかでてきませんが、マロングラッセになれなかった二人が実は栗きんとんであるという小鳩くんの考察が面白いので、最後を楽しみに読んでください!

結論からいうと、小鳩くんと小山内さんは「小市民として生きるのは無理」「やっぱりつきあおうか」っていうことになります。

小山内さんが語る「わたしの次善」としての小鳩くんに深い愛を感じてしまうのは私だけでしょうか…?

巴里マカロンの謎

「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店、パティスリー・コギ・アネックス・ルリコに行って新作マカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか。それ以前に、四種の中で増えたマカロンはどれか。「ぼくが思うに、これは観察力が鍵になる」小鳩君は早速思考を巡らし始める……。心穏やかで無害で易きに流れる、誰にも迷惑をかけない小市民になるべく互恵関係を結んだあのふたりが帰ってきました! お待ちかねシリーズ十一年ぶりの新刊、四編収録の作品集登場。/【収録作】「巴里マカロンの謎」/「紐育チーズケーキの謎」/「伯林あげぱんの謎」/「花府シュークリームの謎」

〈小市民〉シリーズ 巴里マカロンの謎

〈小市民〉シリーズの番外編となる短編集。春期限定いちごタルト事件同様、くすっと笑えて平和なオチがつくライトな読後感が楽しめます。

マカロンの中に仕込まれた指輪は、誰がどうやって入れたのか?それを小山内さんのお皿に入れた人物は?という謎解きが終わるまで大好きなマカロンを味わえず焦れている小山内さんがかわいいですw

それに、小鳩くんと二人で突き止めた犯人といつのまにか仲良くなったり、スイーツの業界紙的な情報まで漁っている小山内さんがすごすぎます(笑)

私が特に好きなのはあげパンの謎犯人(犠牲者?)は多分というか間違いなく小山内さんなんですよ。直接描かれておらず小鳩くんのセリフによるほのめかししかないんですが。。

その時の小山内さんの様子がどうだったのかを想像すると、怖いけど見てみたい…!

ラストシーンにもあげパンネタが登場するなど、この短編集の中で最もインパクトあるエピソードであることは間違いありません。

大好物のパティスリー・コギ・アネックス・ルリコのマカロンをはじめとするスイーツの山に囲まれてシリーズ中でいちばん幸せそうに笑う小山内さんが出てきますので、ぜひぜひ読んでいただきたいです。

ちなみに収録作の読み方は「巴里(パリ)マカロンの謎」/「紐育(ニューヨーク)チーズケーキの謎」/「伯林(ベルリン)あげぱんの謎」/「花府(フィレンツェ)シュークリームの謎」です。

冬期限定ボンボンショコラ事件

小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。冬の巻ついに刊行。

〈小市民〉シリーズ  冬期限定ボンボンショコラ事件

小鳩くんひき逃げ事件が、病院から一歩も出ないまま、しかも小鳩くんがほぼベッドから動かないまま解決されるところが面白かったです。

こういうのを「寝台探偵」(ベッド・ディテクティヴ)というらしいですね。「安楽椅子探偵」と同じように、探偵は動かないまま推理して事件を解決するスタイルになっています。

解決される事件は、小鳩くんが右の大腿骨を骨折して肋骨にひびが入ったひき逃げ事件と、小鳩くんと山内さんが中学3年生のとき解決しようとしたしたひき逃げ事件の2つです。

ベッドで寝返りをうつことさえ禁じられた小鳩くんの初めての入院生活と、過去の事件を回想するシーンが交互に描写されていきます。

毎日のように登場する人物の中に犯人がいて、しかも過去に関わりのあるキャラだったというオチに驚かされました。

健吾や小山内さんが小鳩くんのお見舞いに来てくれるんですが、小鳩くんは小山内さんが来てくれる時間にはいつもぐっすり眠っています。

事故のときに携帯電話も壊れてしまったため、小山内さんが枕の下に残してくれるメッセージカードと小鳩くんの日記が二人のコミュニケーションツールになります。

小山内さんが差し入れてくれたボンボンショコラを毎日一粒ずつ食べる小鳩くん。適当に選ぶ一粒のフレーバーにも意味があったとは…!やられました~

小山内さん小鳩くんがどのように出会ったのか?相互互恵関係はなぜ、どのように結ばれたのか?というシリーズ全体の謎も明らかになる完結編です。

二人の関係が高校卒業後も続くことがわかるラストでホッとしました。

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まとめ

米澤穂信先生の〈小市民〉シリーズについて、作品を読む順番とネタバレあらすじをご紹介しました。

  • 読む順番でおすすめなのは、刊行順か時系列順
  • 各巻のタイトルに入っているスイーツが謎解きのポイントに

謎解きのプロセスの面白さや犯人の意外さはもちろんのこと、小鳩くんと小山内さんの互恵関係がどうなるのか?も目が離せず、ページをめくる手がとまりません。

ほっこり・ほのぼのとした読後感が残る、人が死なない本格ミステリが好きな方におすすめします!

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